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品質方針の具体例(建設会社の場合)

大手の建設会社は、どのような品質方針を掲げているのでしょうか?
いくつか建設会社の品質方針の具体例をあげてみましょう。

例えば「三井住友建設」の品質方針は、「技術力と想像力の向上に努め、社会の信頼と満足を得る品質を提供すること」です。

そのための取り組みとして、次のような品質目標を掲げています。

〇顧客や社会に求められている品質を正しく理解し、満足する商品を一貫して提供すること
〇社会の要求に応える技術の開発とサービスに努めること
〇品質目標を定め、定期的な見直しを行うこと
〇目標達成のため従業員への教育や社内監査を徹底すること
〇社内外のコミュニケーションを高めること
〇品質マネジメントシステムの有効性の継続的改善に努めること


また、「清水建設」の建設部門は、「LCVを基本姿勢として、お客様が期待する価値を的確に捉え、営業から保全までの全てのプロセスにおいて、全従業員が“品質へのこだわり”を持って、最適品質の造りこみを行い、信頼され、満足していただける技術とサービスを提供する」という品質目標を定めています。


一方、「興栄建設株式会社」は、「発注者の要求と期待に応える構築物を提供し、社会に貢献するために、全社員、高品質の製品の造りこみに徹する」という品質方針を定めています。

「興栄建設株式会社」は品質方針の中で、発注者の要求は、具体的には製品の信頼性と納期の厳守、低コストによる製品の提供であり、社会への貢献とは、災害に強く安全な構築物の提供であるとしています。

その他にも、全社員が明確な目標を設定すること、自らの責任や役割を認識しながらチームの中で行動すること、一人一人が問題意識を持ち、小さな改善をすることで企業全体の改善に繋げること、プロとしての誇りを持つこと、といった品質方針を盛り込んでいます。

品質目標の具体例(ソフトウェア開発会社)

ソフトウェア開発会社の場合を例にとり、品質目標の具体例について説明させていただきます。

ソフトウェアには仕様書やソースコードにおいて、長さや構造、表現の一貫性など、たくさんの特徴を考慮しなければなりません。

ソフトウェア製品には、機能性、信頼性、使用性、効率性、保守性、移植性の6つの特性があります。

したがって、ソフトウェア開発関連会社で品質目標を定める際には、その6つの特性について細かく基準を定めることになります。

まず、機能性については、合目的性、正確性、相互運用性、セキュリティなど、雇用者の使用目的に対して適切で、正確な動作をするかどうかを確認します。

次に、信頼性については回復性や障害許容性など、トラブルの際の被害を少なくする能力を確認します。

その他、使用性については理解性・習得性・運用性などを、効率性については時間効率・資源効率などを、保守性については解析性・変更性・安定性などを、移植性については環境適応性・設置性・共存性などを、それぞれ考慮し、具体的な品質目標を設定します。

品質目標の具体的な設定項目には、例えば次のような点が挙げられるでしょう。

●顧客満足度の上昇については、クレーム件数が年に〇件以内になるようにする。
●製品収率を〇%以上にする。
●従業員教育については、必要な資格取得者を年に〇人以上出す。

つまり、品質目標の数値化が、きわめて重要視されるわけです。
数値化することにより、品質目標の達成度が目に見えるようになるからです。

具体的な品質目標を発表しているソフトウェア開発企業は多くはありませんが、たとえば某ソフトウェア開発企業は、「ソフトウェア」の受注量が前年より1件以上増える」という、非常に具体的な内容を品質目標にしています。

ISO9001取得のための品質方針・品質目標の設定

品質マネジメントシステムの継続的な改善のためのISO9001規格取得には、品質方針・品質目標の設定が最重要課題となります。

ISO9000シリーズでは、品質目標が組織内の各部門及び階層で品質目標が確実に設定されていることを要求しています。
また、品質方針の項目には、「品質目標の設定及びレビューのための枠組みを与える」との記述があります。

品質目標の内容は各企業が決めるものであり、品質目標に何を盛り込むかは、特に求められていません。

たとえば、売上目標、利益率目標、クレームやトラブルの減少などを具体的に数値にして品質目標としている企業が多いようです。

品質目標として設定されていることが望ましい条件としては、定量化や測定が可能であること、達成が可能であること、経済的に実行が可能であること、標準化されていることなどが挙げられます。

経営者は、定期的に品質目標のレビューを行い、社内で発表・回覧することにより、従業員全体に品質目標の詳細を知らせるようにします。

目標設定の際には、期限を設定し、終了後にどれだけ達成されたかが目に見える数値で表せるようにするのがよいでしょう。
品質目標は、品質方針を達成するための具体的な取り組みの内容を示すために設定するものだからです。

品質目標は、社内各部門ごとによって定め、各従業員はその目標に対しての自分の役割や権限、責任の範囲を確認するよう努めなければなりません。

品質方針・品質目標設定時の重要ポイント

ISO9001の審査登録をおこなう場合、企業は明確な品質方針・品質目標を掲げることを要求されます。

品質方針(Quality Policy)とは、企業の方向性を示すものですから、品質方針には、その企業の「心意気」を顧客に訴えかける要素を含まれていなければなりません。

したがって、品質方針は、多くの場合、顧客の立場に立ち、その要求に応えられるように設定されます。

それに対し品質目標(Quality Objective/ Quality Target)とは、製品やサービスが比較的短く設定された期間に達成するべき成果を数値で示したものです。

品質目標を設定する際に注意すべき点は、企業の品質方針に沿っっているか、現状で達成することが可能かどうか、パートや派遣・アルバイトも含めた企業に関わる全ての人間が十分理解し、取り組むことが可能かどうかということになるでしょう。
また、顧客の理解や満足を得られるかどうかも考慮に入れなければなりません。
例えば、不良品を全体の何%までに留めるかという点も、大切な品質目標の一つになるわけです。

設定した品質方針・品質目標を明確にするには、品質方針が企業の実績に合致しているか、形骸化していないか、企業のトップは品質方針を理解し率先して実施しているか、組織全体に根付いているかなど、いくつものポイントを再確認をすることが必要です。

品質目標についての再確認事項の例としては、品質目標が企業の経営にとってプラスにつながるか、定期的に見直しがされているか、無理なく達成確認が可能な数字に設定されているか、達成するための具体的な実行計画が練られているか、といった点が挙げられます。

もちろん、品質目標の達成度が重要な確認事項であることは言うまでもありません。
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